NASMってどんなパーソナルトレーナーの団体?CPTやCES、PESなど発行している資格を解説

「NASMって最近、よく聞くけど、いったいパーソナルトレーナーのどんな団体なの?」

「NASMっていろいろ資格を発行しているけど、どんな違いがあるの?」

ジンノウチ

僕はアメリカで2011年にNASMが発行している資格、CESとPESを取得しました!日本でNASM公認でパーソナルトレーナーを養成するフィットネスエデュケーターという立場でも活動しています。

今回の記事で、NASMがどのようなパーソナルトレーナーの団体で、どのような資格を発行しているのか、NASMについて何も知らない方でもわかるように解説します。

NASMがどのようなパーソナルトレーナーの団体か?

NASMは、National Academy of Sports Medicineの略称で、日本語では全米スポーツ医学アカデミーです。

日本ではナズムと呼んでいる方がいらっしゃるのですが、本来はエヌエーエスエムと呼びます。

アメリカのNASMの本部の方々の中にはこういう名称の呼ばれ方にこだわりを持っている方も多くいらっしゃるので、日本でもエヌエーエスエムと呼んでもらえるように声かけをしています。

NASMは、1987年に設立され、アリゾナに拠点を置いているパーソナルトレーナーの教育団体になります。

日本では、AFAAやZumbaなどの事業をされている株式会社 JAPAN WELLNESS INNOVATIONが国内運営団体として NASM JapanをNASM事業部として運営してくれています。

日本では、パーソナルトレーナーやトレーニング指導者の団体と言えば、アメリカの団体であるNSCA(National Strength & Conditioning Association)やNESTA (National Exercise & Sports Trainer Association)、日本の団体であるJATI (Japan Association of Training Instructors)が有名ですが、このNASMがスポーツとフィットネス業界を合わせると世界最大のトレーナー団体になります。

ただし、日本ではまだNASMの資格を取得して活動しているパーソナルトレーナーは多くないのが現状です。

ジンノウチ

絶対にこれから増えていきます。いや、僕が増やします‼笑

NASMはどんな資格を発行しているのか?

NASMは、パーソナルトレーナーを軸に、様々な専門分野の資格があります。

基本的には、公認パーソナルトレーナーの資格であるNASM-CPT (公認パーソナルトレーナー)をまず取得してから、各パーソナルトレーナーがどの専門分野に絞って活躍できるように多くの専門分野の資格を発行しています。

今(2023年9月15日)、アメリカのNASMのホームページを確認すると、専門分野の資格は、17個あります。

NASMのホームページで記載されている順番で紹介すると、

  1. NASM CNC: Nutrition Certification 栄養に特化した資格
  2. NASM CSNC: Certified Sports Nutrition Coach スポーツ栄養に特化した資格
  3. NASM CWC: Certified Wellness Coach ウェルネスに特化した資格
  4. NASM PBC: Physique and Bodybuilding Coach フィジークとボディビルディングに特化した資格
  5. NASM CES: Corrective Exercise Specialist 機能改善(猫背などの姿勢や慢性の痛みの改善など)に特化した資格
  6. NASM SFC: Stretching and Flexibility Coach ストレッチと柔軟性に特化した資格
  7. NASM WLS: Weight Loss Specialization ダイエットに特化した資格
  8. NASM PES: Performance Enhancement Specialization スポーツのパフォーマンス向上に特化した資格
  9. NASM HGD: Home Gym Design Specialization ホームジム導入に特化した資格
  10. NASM VCS: Virtual Coaching Specialization オンライン指導に特化した資格
  11. NASM BCS: Behavior Change Specialization 行動変容に特化した資格
  12. NASM GPTS: Group Personal Training Specialization グループ指導に特化した資格
  13. NASM WFS: Women`s Fitness Specialization 女性の指導に特化した資格
  14. NASM SFS: Senior Fitness Specialization 高齢者の指導に特化した資格
  15. NASM YES: Youth Exercise Specialization 子どもの指導に特化した資格
  16. NASM MMA: MMA Conditioning Specialization 格闘技に特化した資格
  17. NASM GFS: Golf Fitness Specialization ゴルフに特化した資格

上記のように様々な資格が用意されているのもNESTAと同じようにNASMの特徴です。

ジンノウチ

僕がNASMの資格を取得した2011年には、パーソナルトレーナーの資格であるNASM-CPT以外には、僕が取得したNASM-CESとNASM-PESの2つの専門分野に関する資格しかありませんでした。

約12年で2つの専門分野から17の専門分野に増加しています。

また、コロナ禍になったここ数年でホームジムやオンラインに関連する専門分野が加えられているので、NASMはさらに専門分野の資格を増やすのではないかと僕は予想しています。

日本でも取得できるNASMの資格を徹底解説

残念ながら日本語で17つのすべての専門分野を取得することはできません。

今(2023年9月)の段階で、日本語で取得できるのは、パーソナルトレーナーの資格であるNASM-CPTに加えて7つの専門分野の資格です。

中でもスポーツのパフォーマンスを向上させるNASM-PESと女性に特化した資格であるNASM-WFSに関してはNASM Japanではなく、他の日本にある団体でしか今は取得することができない形になっています。

それぞれどの団体で取得できるかはそれぞれの資格で紹介します。

NASM-CPT

NASM-CPTは、NASMの基盤となる公認パーソナルトレーナーの資格です。

NASMの日本の支部であるNASM Japanで取得できます。

基盤となる資格になるので、NASMの特徴でもあるOPTモデルやパーソナルトレーナーとしての基礎知識を身につけられます。

このNASMの特徴であるOPTモデルとは、Optimum Performance Trainingモデルの略称で、日本語では理想的なパフォーマンストレーニングモデルです。

このOPTモデルは、安定性・筋力・パワーの3段階で構成されています。

従来のパフォーマンストレーニングでは、筋力・パワーという2段階に対して安定性が追加されているのが最大の特徴です。

ゼロからパーソナルトレーナーを目指そうと考えている方や、専門学校や大学の学生におススメの資格です。

逆に、他のパーソナルトレーナーやアスレティックトレーナーなどの資格を取得している方やすでにトレーニング指導をしている方であれば、NASM CPT以外の専門分野に関する資格を取得することがおススメです。

NASM-CES

NASM-CESは、機能改善に特化した資格です。

NASMのOPTモデルなどはNBAのフィジカルトレーニングコーチをしていたマイク・クラーク博士が開発したもので、マイク・クラーク博士は理学療法士というバックグラウンドがあります。

理学療法士というバックグラウンドを持ちながら、NBAなどのトップレベルの選手たちをトレーニング指導していました。

スポーツのパフォーマンスを向上させながら、いかにケガを予防するのか、体の不調をありながらもプレーしている選手をどのように高いパフォーマンスを発揮できるようにサポートできるのかを考えたことをわかりやすくまとめたのをこのNASM-CESでは学ぶことができます。

肩こりや腰痛などの慢性的な痛みだけではなく、猫背や反り腰など姿勢改善などに特化したいパーソナルトレーナーにはとてもおすすめの資格です。

特に、理学療法士さんや柔道整復師さん、鍼灸あんまマッサージ指圧師さんなど、治療家の方でこれからトレーニング指導を考えている方におススメしているのがNASM CESです。

NASM-PES

NASM-PESは、スポーツのパフォーマンスを向上させるためのトレーニング指導に特化しています。

この資格は、日本で初めて取得できるようになったNASMの資格です。

NASM Japanではなく、R-bodyという会社が運営していて、すべてオンラインで取得できるようになっています。

NASM-PES Online資格取得コース | R-body

日本で初めて取得できるようになったNASMの資格ということもあり、NASMの資格=PESと思っている日本人の方が多くいらっしゃる印象です。

また、日本代表やプロチームなどのスポーツ現場のトップレベルで活動するために必要な資格は、NSCAのCSCSやJATIのATIになりますが、これら2つの資格と同等レベルと認められているのがこのNASM-PESです。

これからトップレベルのスポーツ現場でトレーニング指導をしたいと考えている方には、ぜひNSCAのCSCSやJATIのATIを取得することをまず考えていただきたいですが、この2つの資格を取得するための条件をクリアするのが難しい方には、NASM-PESがおススメです。

NSCAのCSCSを取得する条件

NSCAのCSCSは、アメリカでチームに対してトレーニング指導するには、まずこの資格を取得するという代表的な資格です。

この資格を取得する条件には、大学を卒業する必要があります。

2023年の段階では、大学のどの学部・学科を卒業していても取得する条件をクリアすることはできますが、アメリカでは2030年から認定されたプログラムを卒業するという条件に変更されます。

まだ、日本でいつこの条件に変更されるか分かりませんが、大学を卒業していない方にとっては、少なくとも大学を卒業する時間とお金が必要になります。

JATIのATIを取得する条件

一方、日本の団体であるJATIが発行しているATIに関しては、大学を卒業していなかったとしても、JATIが認定しているプログラムを修了する、もしくはNSCAのCPTなどの資格を取得していることによって、ある程度のプログラムの受講が免除されます。

このNSCAのCPTというのは、NASMのCPTと同じように18歳以上であれば、自分で学んで、試験を受けて合格すれば取得することが可能です。

NASM-GPTS

NASM-GPTSは、グループ指導に特化した資格です。

パーソナルトレーナーと言えば、1対1でのトレーニング指導というのが基本ではありますが、自分1人ではなく、グループでトレーニング指導を受けたいというクライアントさんも多くいらっしゃいます。

僕の場合には、下記のように分類しています。

  • 1人: パーソナルトレーニング指導
  • 2人: セミパーソナルトレーニング指導
  • 3人から8人: スモールグループトレーニング指導
  • 9人以上: グループ/チーム指導

ちょっとビジネスでお金の話になりますが、このように指導する人数の枠を増やすことによって、パーソナルトレーニングではクライアントさんとして指導できなかった人でも指導できるようになります。

これまでずっとパーソナルトレーナーとして1対1で指導していた方で、グループ指導に興味を持っている方にはおススメしています。

私は、アスレティックトレーナーとストレングス&コンディショニングコーチというバックグラウンドがあったので、1対1でもチーム指導も経験があるので、このNASM-GPTSは取得していません。

NASM-GFS

NASM-GFSは、ゴルフに特化した資格です。

アメリカでゴルフに特化した資格と言えば、残念ながらこのNASM-GFSではありません。

アメリカでゴルフに特化した資格は、TPIという団体が発行している資格で、バイオメカニクスの評価を用いてゴルフのスイングを分析してトレーニング指導するという特徴があります。

プロレベルなど、ゴルフのスイングを高価な機械を用いて分析できるような環境であれば、ぜひこのTPIが発行している資格で勉強するのがおススメです。

NASMについては、トップレベルのスポーツ現場でのトレーニング指導者というよりかは、ゴルフはゴルフなんですが、フィットネス業界などいわゆるゴルフ愛好家の方などを対象にしたトレーニング指導者を対象にしています。

僕自身、アメリカのラスベガスで活動していたときには、プロのゴルファーを教えているようなティーチングプロのサポートをしていたので、このTPIから多くのことを学びましたが、日本に帰国してからは、バイオメカニクスの高価な機械を用いての分析をすることはありません。

ジンノウチ

僕自身、このNASM-GFSを取得するために教科書を読んだ感想として、「TPIの考えをゴルフ愛好家の方を対象にトレーニング指導をしている人やティーチングプロに必要な内容にまとめてくれている」と正直感じました。

高価な機械を用いてバイオメカニクス的な分析をする必要のない環境でトレーニング指導をゴルファーに対してしたいと考えている方にはおススメの資格です。

NASM-WFS

NASM-WFSは、女性を対象としたトレーニング指導に特化した資格です。

東京健康科学専門学校が2018年から日本初でNASMのWFSのカリキュラムを始めました。

健康スポーツ学科 | 東京健康科学専門学校 (touken.ac.jp)

現在でも僕が知る限り日本語でNASM-WFSを取得できるのは、東京健康科学専門学校だけです。

僕はご縁があり、このNASM-WFSの日本語版の教科書の一部を翻訳させていただきました。

妊娠やホルモンなど女性特有のことを学び、どのように女性をトレーニング指導すればいいのか基盤をしっかりと固めたいという方にはとてもおススメです。

NASM-BCS

NASM-BCSは、行動変容に特化した資格で行動心理学を学べます。

特にダイエットを成功するためには、クライアントさんの行動変容が必要になります。

トレーニング指導でも、食事指導でも共通して重要になるのが行動変容です。

トレーニング指導や食事指導には自信があるのにも関わらず、「クライアントさんが思っているより行動してくれない…」と悩んでいるパーソナルトレーナーの方にはぜひおススメの資格です。

僕自身はアメリカの短期大学に留学していたときには、心理学を専攻していたので、あまりクライアントさんの行動変容について悩んだことがないので、この資格を取得はしていませんが、NASMのCPTを継続するために必要な継続単位が足りないときなどには取得しようと思っている資格です。

NASM-CNS

最後に紹介するNASM-CNSは栄養に特化した資格です。

アメリカの場合には、日本よりも厳しくパーソナルトレーナーができることは制限されています。

クライアントさん、1人1人に合わせた細かい食事指導は、管理栄養士の役割であり、パーソナルトレーナーの仕事ではありません。

それでも、一般的な栄養指導・食事指導はパーソナルトレーナーの役割でもあるので、このNASM-CNSを学ぶことによって、パーソナルトレーナーの役割の中で最大限の対応をできるようになります。

トレーニング指導だけではなく、栄養指導・食事指導についても力を入れたいと考えているパーソナルトレーナーの方にはおススメです。

最後に

NASMは、アメリカだけではなく、世界最大のトレーナー団体です。

世界最大のトレーナー団体で、スポーツとフィットネス業界でトレーナーに何を求められているのか、マーケティングも力をいれてやっています。

様々な専門分野の資格があるのは、一見、トレーナーからお金を搾り取るような悪い協会ビジネスをイメージさせるかもしれませんが、それは違います。

特に大きなお金をトレーナーが手に入れることができるフィットネス業界でマーケティングをした結果、マーケットがトレーナーに何を求めているのかを分析し、導き出した結果がこれらの専門分野です。

トレーナーとして特に求められるのが集客力と商品力です。

例え、あなたの専門的な知識とスキル、人間性が高く、商品力が高かったとしても、市場がそれを求めていなければ、売り上げを上げることはできません。

ジンノウチ

NASMが発行している資格の専門分野

市場が求めている専門性

稼げるトレーナーになる近道

だと僕は考えています。

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ABOUT US
ジンノウチ シュンパーソナルトレーナー
パーソナルトレーナー歴20年以上。アメリカの準医療資格であるアスレティックトレーナー、NASM公認のパーソナルトレーナーを養成するフィットネスエデュケーターとして活動。日本健康医療専門学校スポーツトレーナー養成コースで「NASM CPT養成コース」を担当。