【機能解剖学】関節安定性機構の2つの分類を解説

ヒトが効率的に身体を動かすためには、動かしたい関節が動き、安定させたい関節は安定していなければなりません。

ヒトが動くために関節を安定させるためにどのような組織が関与しているかをパーソナルトレーナーは知っておく必要があります。

ジンノウチ

筋肉や骨、靭帯、関節包など機能解剖学では様々な組織の名称を覚える必要があります。

ただ、各名称を覚える前に、それぞれの組織が関節を安定させるためにどのように分類されているかを理解する必要があります。

今回の記事では、関節を安定させるシステムである関節安定性機構の2つの分類について解説します。

関節安定性機構とは

関節安定性機構とは、漢字の通り、関節を安定させているシステムのことです。

この関節安定性機構は、動的に関節を安定させている動的安定性機構と静的に関節を安定させている静的安定性機構に分類されています。

動的安定性機構

動的安定性機構は、動的に関節を安定させているため、動きながら関節を安定させています。

動きながら関節を安定させているのは、2つしかありません。

  • 筋肉

腱とは、筋肉と骨を繋ぐ結合組織なので、主に筋肉が動的に関節を安定させていると言っても過言ではありません。

トレーニング、特にバランストレーニングや筋持久力トレーニングによって筋肉にアプローチすることができ、より動的に関節を安定させることが可能です。

静的安定性機構

一方、静的安定性機構とは、静的に関節を安定させているため、構造的に関節を安定させています。

静的安定性機構に含まれるのは、簡単に言えば筋肉と腱以外の組織で関節を安定しているものです。

具体的には、

  • 骨軟骨
  • 関節軟骨
  • 関節包
  • 靭帯 など

関節包とは、関節を覆っている軟部組織で、脱臼などによって損傷したり、痛みのあるストレッチによって関節包は伸びてしまい、関節が緩む原因となります。

靭帯とは、骨と骨を繋ぐ結合組織で関節を安定させています。

捻挫で損傷してしまうのが、靭帯です。

ケガ/既往歴と動的安定性機構と静的安定性機構

ケガや既往歴を知ることによって、どこの組織が損傷しているのか、または損傷したことがあるのかをパーソナルトレーナーは分かる必要があります。

ケガには、外傷と障害の2種類ありますが、外傷の場合には特に、損傷した組織の機能がしっかりと戻り、動的安定性機構として機能しているかを確認する必要があります。

一方、障害の場合には、損傷した組織の機能だけでなく、周囲の組織の機能も確認する必要があります。

ケガの種類である外傷と障害については下記の記事で詳しく解説しているので、外傷と障害の違いについてはっきりと分からない方はぜひ読んでみてください。

外傷の場合には受傷したらすぐに病院に行き、しっかりと医師による診断をしてもらい、リハビリテーションを介して損傷組織の機能が戻っている可能性はありますが、障害の場合には、損傷組織が機能低下していてもプレーをある程度継続し、損傷組織の周りの組織に負荷をかけている可能性があります。

ケガの診断名から外傷か障害のどちらなのか、どの組織が損傷しているのかが分かり、機能解剖学によってその損傷した組織の機能が分かることによって、周りのどの組織に影響を与えているのかを推測でき、評価できます。

評価できることによって、問題を把握し、その問題を解決するためにどのようなエクササイズが必要かが分かり、プログラムを作成し、トレーニング指導によって問題を解決できるという流れになります。

最後に

関節を安定させているシステムは、動的に関節を安定させている動的安定性機構と静的に関節を安定させている静的安定性機構に分類されます。

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ジンノウチ シュンパーソナルトレーナー
パーソナルトレーナー歴20年以上。アメリカの準医療資格であるアスレティックトレーナー、NASM公認のパーソナルトレーナーを養成するフィットネスエデュケーターとして活動。日本健康医療専門学校スポーツトレーナー養成コースで「NASM CPT養成コース」を担当。