「覚えないといけない関節が多くて大変…」
「関節の動きについて学んだけど、もう一度復習したい!」
今回の記事では、パーソナルトレーナーやフィットネスインストラクターを養成する専門学校で機能解剖学の授業を教えている僕が主な関節とその関節の動きについて紹介していきます。
目次
脊柱の動き
脊柱は、頚椎、胸椎、腰椎、仙椎、尾椎の5つの椎体で構成されていますが、パーソナルトレーナーとしてのトレーニング指導で重要になるのが、頚椎・胸椎・腰椎の3つです。
頚椎・胸椎・腰椎はそれぞれ、矢状面上では屈曲と伸展、前額面上では側屈、水平面上では回旋が起こります。
特に胸椎と腰椎に関しては連動して動くため、ストレッチやフォームローラーでの指導では、とても重要になる脊柱の動きとなります。
- 屈曲
- 伸展
- 側屈
- 回旋
骨盤の動き
骨盤の動きについても、細かくすれば3つの面で起こりますが、重要になるのが矢状面上の動きである前傾と後傾です。
動的な動きの中での骨盤の前傾と後傾の動きも重要ですが、止まっている状態の姿勢での評価も骨盤は重要になります。
- 前傾
- 後傾
肩甲骨(肩甲胸郭関節)の動き
肩甲骨と胸郭で構成されている肩甲胸郭関節は、厳密にいえば関節ではありませんが、機能としては関節の役割を果たしています。
特に、肩甲骨の動きは肩関節(肩甲上腕関節)と連動して動くため、必ず肩甲骨と肩関節はどちらも評価してください。
肩甲骨と肩関節の評価ができるようになったら、鎖骨の動きを胸鎖関節や肩鎖関節で評価できるように知識とスキルを深堀するようにしてください。
- 挙上
- 下制
- 内転
- 外転
- 上方回旋
- 下方回旋
肩関節(肩甲上腕関節)の動き
肩甲骨と上腕骨で構成されているのが、肩関節です。
肩の動きと一般的に呼ばれる動きは、厳密に言えば、肩甲上腕関節、肩甲胸郭関節、胸鎖関節、肩鎖関節など複数の関節の動きになります。
- 屈曲
- 伸展
- 内転
- 外転
- 内旋
- 外旋
- 水平屈曲
- 水平伸展
肘関節の動き
肘関節は、上腕骨と尺骨で構成されています。
肘関節は、矢状面の動きしかありません。
- 屈曲
- 伸展
前腕(橈尺関節)の動き
前腕の動きは、前腕にある2つの骨、橈骨と尺骨が構成する橈尺関節で起こります。
前腕の動きは肘関節の動きだと思われがちなので、しっかりと前腕の動きと肘関節の動きを分けて理解することが大切です。
- 回内
- 回外
手首(手関節)の動き
手首の動きは、屈曲や伸展、側屈といった名称ではなく、特別な名称で呼ばれています。
矢状面の動きは一般的には屈曲と伸展になりますが、手関節の場合には、屈曲のことを掌屈(手の平=手掌の方に屈曲)、伸展のことを背屈(手の甲=手背の方に屈曲)と呼びます。
また、前額面の動きは一般的には側屈になりますが、手関節の場合には、親指側(橈骨側)への側屈のことを橈屈、小指側(尺骨側)への側屈のことを尺屈と呼びます。
- 掌屈
- 背屈
- 橈屈
- 尺屈
手指の動き
手の指の動きは、親指と他の4本の指の動きは異なりますが、まずは4つの動きがあることを覚えておいてください。
- 屈曲
- 伸展
- 内転
- 外転
股関節の動き
股関節の動きは、肩関節と同様に矢状面、前額面、水平面の3つの面で起こります。
トレーニングでもストレッチでも欠かせない関節になるので、上半身では肩関節、下半身では股関節からまず覚えるようにしてください。
- 屈曲
- 伸展
- 内転
- 外転
- 内旋
- 外旋
膝関節の動き
膝関節は、肘関節の動きと同様に矢状面上の動きだけになります。
厳密に言えば、下腿の内旋・外旋と呼ばれる水平面上の動きがありますが、ちょっと難易度が高いのでまずは矢状面上の動きと覚えておいてください。
- 屈曲
- 伸展
足関節・足部の動き
足関節と足部の動きはとても重要で、難易度が高くなります。
足関節は、距腿関節とも呼ばれ、距骨と脛の部分である下腿(脛骨と腓骨)で構成されています。
スポーツ中や日常生活中でも起こりやすい足首の捻挫に大きく関わる関節でもあり、スクワットのような下半身のエクササイズでも足関節の動きはとても重要です。
足部の動きについては、別の記事で詳しく解説しますが、参考にする本によって呼び方が変わるので注意が必要です。
- 底屈
- 背屈
- 内返し
- 外返し
足趾の動き
足趾の動きは、手の指の動きと同様に複雑ですが、今は4つの動きがあるという点を覚えておいてください。
- 屈曲
- 伸展
- 内転
- 外転
最後に
骨や筋肉、関節の名称を細かく覚えておく必要はありますが、ゼロからパーソナルトレーナーを目指そうと機能解剖学を学んでいる方には、1つずつ細かく覚えるよりも、トレーニングやストレッチなど、実際に身体を動かしながら覚えるのがおススメです。
この記事では、トレーニングやストレッチなどで動かす主な関節の動きを一覧にしました。
この記事で紹介していない関節の動きが、パーソナルトレーナーとして覚える必要はないということではありませんが、まずはこの記事で紹介した関節/部位の動きを身体を動かして覚えるようにしてください。
パーソナルトレーナーにとって、動きを理解することはトレーニング指導をする上で基盤となる知識の1つです。
ヒトが動くときには、必ず関節が動くので、それぞれの関節の動きを理解することが、ヒトの動きを理解するための最初の1歩です。