【トレーニング】動作パターンによるエクササイズの5つの分類を解説

「トレーニングのエクササイズをどう整理すればいいのかわからない…」

「鍛える部位以外でエクササイズの分類方法を知りたい!」

ジンノウチ

僕は、アメリカの準医療資格であるアスレティックトレーナーとして12年以上活動しています。

日本には数名しかいないNASM (National Academy of Sports Medicine; 米国スポーツ医学アカデミー)公認のパーソナルトレーナーを養成するフィットネスエデュケーターとして活動し、現在は、柔道整復師や鍼灸師を養成している日本健康医療専門学校のスポーツトレーナー養成コースで「NASM CPT養成コース」を担当しています。

パーソナルトレーナーは、安全、効果的かつ効率的にクライアントをトレーニング指導する必要があります。

筋肉を大きくすることを目的にしたトレーニング指導では、鍛える部位によるエクササイズの分類方法が役立ちますが、スポーツや日常生活のパフォーマンスを向上させることを目的にしたトレーニング指導では、多くのトップトレーナーは動作パターンによってエクササイズを分類しています。

今回の記事では、パーソナルトレーナーがトレーニング指導するためのエクササイズを分類する5つの動作パターンを紹介し、動作パターンによってエクササイズを5つに分類できるように解説します。

「鍛える部位」ではなく、「動作パターン」による分類

一般的なエクササイズの分類方法は、「胸部」や「背部」、「肩部」といった鍛える部位や、「大胸筋」や「広背筋」、「大腿四頭筋」といった鍛える筋肉を対象にしています。

この方法は、筋肉を大きくする「筋肥大」を目的にしたトレーニング指導の場合には、一番わかりやすい分類方法です。

ただ、スポーツや日常生活でのパフォーマンス向上を目的にした場合には、トレーニングの目的は筋肥大だけではありません。

トレーニングの目的
  • 正しいフォームの習得
  • 筋持久力
  • 筋肥大
  • 最大筋力
  • パワー
  • スピード
  • アジリティ
  • 持久力(有酸素性・無酸素性)

スポーツや日常生活でのパフォーマンス向上を目的にトレーニング指導する場合には、筋肉を大きくしたり、筋肉量を増やすために筋肥大を目的に行うだけではなく、筋肥大させた筋肉がスポーツや日常生活でのパフォーマンスを向上できるように、最大筋力、パワー、スピード、アジリティなどの動作に転化させる必要があります。

もちろん、スポーツの練習や試合、日常生活を繰り返すことによって筋肥大させた筋肉をパフォーマンスへと転化されますが、パーソナルトレーナーとしては、効率よく転化されるようにプログラムを作成することが大切です。

この効率よくトレーニングの効果を転化させるためには、スポーツや日常生活の動作パターンを考慮してトレーニング指導を進めることが重要です。

5つの動作パターン

スポーツや日常生活の動作パターンには5つあります。

5つの動作パターン
  • 押す: Push
  • 引く: Pull
  • 股関節中心: Hip Hinge, Hip Dominant
  • 膝関節中心: Squat, Knee Dominant
  • 体幹: Loading

上半身の動作パターンである「押す」と「引く」は、さらに「垂直方向」と「水平方向」に分類できます。

① 押す: Push

動作パターンの1つ目である「押す」は、ベンチプレスや腕立て伏せ(プッシュアップ)のような水平方向に押す動作と、ショルダープレスやサイドレイズなどのような垂直方向に押す動作にさらに分類することができます。

ショルダープレスのような垂直方向に押す動作を「プレス」と分類する場合もあります。

「押す」動作は、主に下記の関節の動きが含まれています。

  • 肩関節: 屈曲、外転、水平屈曲(水平内転)
  • 肘関節: 伸展
  • 手関節: 背屈

「鍛える部位」による分類では、胸部や肩部、上腕部・前腕部(後面)に相当します。

② 引く: Pull

動作パターンの2つ目である「引く」は、ラットプルダウンのような水平方向に引く動作と、シーティッドロウのような垂直方向に引く動作にさらに分類できます。

「引く」動作は、主に下記の関節の動きが含まれています。

  • 肩関節: 伸展、内転、水平伸展(水平外転)
  • 肘関節: 屈曲
  • 手関節: 掌屈

「鍛える部位」による分類では、背部と上腕部・前腕部(前面)に相当します。

③ 股関節中心: Hip Hinge, Hip Dominant

動作パターンの3つ目である「股関節中心」は、デッドリフトやヒップスラストなどのエクササイズが含まれます。

股関節中心に分類されるエクササイズはあまりありませんが、スポーツや日常生活のパフォーマンスを高めるためには重要な動作パターンです。

④ 膝関節中心: Squat, Knee Dominant

動作パターンの4つ目である「膝関節中心」は、「股関節中心」以外の下半身のエクササイズです。

スクワットやフォワードランジなどの矢状面のエクササイズだけではなく、前額面のエクササイズも忘れないようにしてください。

⑤ 体幹: Loading

動作パターンの最後である5つ目は「体幹」です。

この動作パターンによる体幹に含まれるエクササイズは、体幹の筋持久力・筋肥大・筋力向上を目的にしています。

体幹トレーニングは下記のステップでスポーツや日常生活のパフォーマンスを高めるためにプログラムデザインされています。

動作パターンの体幹は、下記の1-5のステップになります。

下記の⑥ 四肢のアイソトニックトレーニング(体幹は安定させるためにアイソメトリック収縮)は動作パターンの「押す」「引く」「股関節中心」そして「膝関節中心」に分類されているトレーニングになります。

体幹トレーニング
  1. 呼吸のエクササイズ
  2. 腹圧を高めるエクササイズ
  3. 体幹のアイソメトリックトレーニング
  4. 体幹のアイソメトリックトレーニング+四肢の動き
  5. 体幹のアイソトニックトレーニング
  6. 四肢のアイソトニックトレーニング(体幹は安定させるためにアイソメトリック収縮)
  7. 四肢のアイソトニックトレーニング(体幹は筋力発揮のためにアイソトニック収縮)
  8. 体幹のパワートレーニング
  9. 四肢のパワートレーニング
  10. 全身のパワートレーニング
  11. スピードトレーニング
  12. アジリティトレーニング

最後に

「押す(Push)」「引く(Pull)」「股関節中心(Hip Hinge)」「膝関節中心(Squat)」「体幹(Loading)」の5つの動作パターンによって、エクササイズを5つに分類することができます。

パーソナルトレーナーがトレーニング指導するクライアントが各エクササイズの目的を理解して実施することが大切です。

動作パターンによってエクササイズを分類することによって、スポーツや日常生活のどの動きに繋がっているかが理解しやすくなります。

筋肉を大きくする「筋肥大」を目的に実施するエクササイズの場合には、動作パターンではなく、鍛える部位での分類方法が採用しやすいですが、動作パターンによって関節の動きや鍛える筋肉は自然にまとまっています。

アームカールやペックフライなどの単関節エクササイズでは、鍛える部位での分類方法を採用し、ベンチプレスやラットプルダウンなどの多関節エクササイズでは、動作パターンでの分類方法で考えることができます。

トレーニング指導をするエクササイズをどのように整理するかは、パーソナルトレーナーがどのようにプログラムデザインするかにとても大きな影響を与えます。

どのようにプログラムデザインするのか、トレーニング指導するクライアントさんにどのようにエクササイズの目的を説明するのかなど、さまざまなことを考慮した上で、エクササイズの分類方法を考えてみてください。

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ジンノウチ シュンパーソナルトレーナー
パーソナルトレーナー歴20年以上。アメリカの準医療資格であるアスレティックトレーナー、NASM公認のパーソナルトレーナーを養成するフィットネスエデュケーターとして活動。日本健康医療専門学校スポーツトレーナー養成コースで「NASM CPT養成コース」を担当。